人類最古の染料ともいわれる藍
日本では『蓼藍(たであい)』を使い、約600年前から続く伝統的な染色方法です。
(「蓼(たで)食う虫も好き好き」に出てくる「蓼(たで)=「藍」です)
徳島県阿波地方で5軒しか残っていないうちの一軒である外山家によって育てられた阿波藍を使用。
種まきから約300日間をかけて作られる希少な染料です。
国選定無形文化財に指定されております。
春先に種まきされ、伸びた葉を夏に摘み取ります、摘み取った葉は乾燥させたあと寝床と呼ばれる蔵の様なところに寝かされ、水と地熱で発酵されます。
4日に一度水をまき、よく混ぜます(繰り返し)、その後徐々に自然発酵が始まり蒸し風呂の様な状態になり、次第に体積が小さくなっていき最終的に100日後(4日×25回)、「蒅(すくも)」と呼ばれる天然藍の染料が出来上がります。
出来上がった藍は年末から年始にかけて出荷されます。
藍は1年草の為、毎年種まき〜蒅作りを一貫して行います。
その年の葉の生育にも左右されやすく、同時に蒅作りにも相当な手間暇がかかる為、限りある貴重な染料です。
徳島で作られた蒅は京都の呉服染職人の手によって、染められる状態にするために「天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)されます。
大きな藍瓶に葉を入れ、灰汁(あく)と日本酒や石灰などを混ぜ、温度管理をしながら自然に蒅が発酵するのを待ちます。連日よくかき混ぜることで空気と触れ合わせ発酵を促します。
※灰汁→灰に熱湯をかけた後、沈殿させた上澄みを取ります。
凡そ約2週間、水面に「藍の華」と呼ばれる泡が立ち始めるといよいよ染入れが可能になります。藍の華は多く水面に現れるほど藍は元気な状態であるとことを意味します。
天然藍は空気と触れ合って空気酸化で青みが生まれます。
染めた物を藍瓶の中で十分に泳がせ、浸しては汲み上げ、広げて空気と触れ合わせて空気酸化をさせます。
この工程を幾度も繰り返し濃度を上げていき、濃い色を出す時には約40回位この工程を繰り返します。
全てが染師による一枚ずつの手染めです。
天然灰汁発酵建て本藍染めは強アルカリ性の為、虫除けや抗菌効果があるとされ身体に良いことを知っていた先人の日本人たちは皆身に纏い続けておりました。
時には戦いのシーンで鎧兜の中の肌着に、時にはお母さんの着古しの浴衣を藍染め後に赤ちゃんの布おむつに、天然藍はずっと日本人の生活と共にありました。
藍染めに染めたシャツを着ていると汗をかいた時にも、汗のにおいがしづらくなります。
また天然藍は色の粒子の」大きさがバラバラの為、染められたものの表面で光が乱反射を起こします。
色々な角度に飛び散る青の色味の中からそっと目に飛び込んでくる青を認識するため、とてもやわらかく味わい深い青に感じます。
染め場の下には京都桂川水系の水脈が流れており、その地下水をくみ上げながら使用しております。
桂川水系の水はとてもやわらかい軟水な為、染色によって「色は鮮やかに、繊維はやわらかく」仕上がるのも特長です。
蒅を建てる時に使用する灰汁は、高知県・四万十川流域の炭焼き場にて良質な灰を焼いた時に出る灰のみを使用し、染師の丁寧な発酵工程のもと藍を建てている為、純度の高い、透き通るようなブルーが生まれます。
※他の藍染め製品で見かける緑掛かったくすんだ色のものは、灰汁の種類・建て方の工程や材料が違う為純度が低く鈍い色に染め上がります。
製品後も空気と触れ合い空気酸化が続くので、その色味の変化を楽しむことが出来ます。
【染師の紹介】
京都 浅井ローケツの2代目・浅井直幸(あさいなおゆき)
京都の着物呉服の染色職人で、刷毛で染め上げる引き染めや、ロウケツ染め・絞り染めといった伝統的な染色技術を受け継ぎ、父、正文と共に天然灰汁発酵建て本藍染めの可能性を探り続ける。
ラツィオではSDGsの12番、13番の活動を推進しております。